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プレゼンで話す最適なスピードを
1分間の文字数で換算すると?

プレゼンにおいて1分間に300文字は本当に最適解なのか?

1分間に300文字が正解ってよく聞くけどな

おっしゃるとおり、話すスピードは1分間に300文字くらいが理想の速度として推奨されていることが多いと思います。

その根拠はNHKのアナウンサーがそれをベースに話しており、番組制作に関わるスタッフ全員の共通認識とされています。

実際、私もその真偽を確かめるために、NHKのアナウンサーが話しているニュースの内容を文字起こしして、測ったことがあります。

本当に約300文字/1分で話していました。

読む人によってバラバラだったら
事前につくった映像とちぐはぐなっちゃうもんね

しかし、ビジネスの現場、特にプレゼンにおいて、この300文字/1分は、話すスピードとして本当に最適といえるのでしょうか?

なんで?信頼と安心のNHKと同じなら間違いないだろ

まず、アナウンサーは当然、テレビの前の視聴者に向けて話しています。

そして、その視聴者の中には、子どもから高齢者まで様々な人がいて、文字通り老若男女、不特定多数をターゲットにしています。

また、テレビのニュースを見ている時に、その人がもつ認知リソースのすべてを集中して、見ている人がどのくらいいるでしょうか?

ほとんどの人が、食事をしながらとか、洗い物をしながらとか、スマホを触りながらなど、テレビを『ながら見』をしていることが多いのではないでしょうか?

BGM的な位置づけね

そういった視聴者を想定する場合、どうしてもゆっくり話すことが求められることになります。

対して、プレゼンの現場はどうでしょうか?

子どもや高齢者に対してプレゼンしたり、相手がお弁当を食べている最中にプレゼンすることがあるでしょうか?

まあ、それはどっちかといえば例外パターンかもな

プレゼンの場が設定された以上、相手はプレゼン内容を理解し、なんらかのアクションを起こす必要があります。

そのためには、プレゼン相手が持つ多くの認知リソースを使って、話している内容を理解しようと努めるはずです。

つまり、集中して聞いていない可能性の高い不特定多数の人(テレビの視聴者)に話す場合と、集中して聴こうとしているビジネスパーソンに話す場合とでは、話すスピードは異なって当然ということになります。

不特定多数を相手にしたプレゼンであれば、300文字/1分は、ひとつの選択肢となりますが、それ以外については、もっと速度を上げることも現実的な選択肢となりえます。

音声データで実際に聞き比べてみる

では、どのくらい速度を上げるべきかについて、実際の音声データで聞き比べてもらえればと思います。

話す速度を変えた音声データを3つご用意いたしました。

画像をクリックしていただくとそれぞれ約15秒の音声が再生されます。

300文字はまどろっこしく感じる。
俺は400文字くらいの方が聴きやすいかな

そう?
私は300文字くらいで話してもらった方がちょうどいいかな

当然、話すスピードが速ければ伝えられる情報量(文字量)が、増えることになります。

そのことが、良いことか悪いことかは聴き手次第ということになりますので、どのくらいのスピードで話すことが絶対的な正解というふうに決め打ちすることはできません。

ゆっくり話す、速く話すそれぞれにメリデメがある

詳細は下記の記事をご覧いただければと思いますが、プレゼンにおいて『何を』話すかよりも『どう』話すかが重要になる場合があります。

そして、『話すスピード』はプレゼンを演出する上でとても重要な要素となります。

速く話すことをポジティブに解釈すれば「活発的」「賢い」などの評価につながりますが、ネガティブに解釈すれば「せっかち」「丸め込まれそう」などの印象を与えることにつながってしまいます。

逆に、ゆっくり話すことをポジティブ解釈すれば「落ち着いている」「信頼感がある」ということにもなりますが、「間延びしている」「頼りない」など、ネガティブな印象に結びついてしまう可能性もあります。

1対1のプレゼンなら『ペーシング』を試みる

正解が無いなら自由に話していいってことだな

1対1のプレゼンという条件下ならば、話すスピードの絶対的な正解が存在します。

それは『ペーシング』です。

ペーシングとは、要するに相手の話すスピードに合わせて、こちらのスピードを変えるということです。

これは、カウンセリングの専門家として知られるフリッツ・パールズやミルトン・エリクソンなどが、クライエント(相談者)との信頼関係を構築するために用いた手法として有名です。

厳密には、話すスピードだけではなく、相手の価値観や関心事などに合わせることを意味しますが、今回は話すスピードに限って話しを進めていきます。

先ほど、音声データを聴いてもらった時に、センパイさんは400文字、コーハイさんは300文字の方が聴きやすいということでしたが、お二人自身の話す速度とリンクしていることにお気づきでしょうか?

実際、センパイさんよりもコーハイさんの方が、普段からゆっくり話しをなさっています。

い〜わ〜れ〜て〜み〜れ〜ば〜

それは遅すぎ

つまり、ご自身と同じようなペースで話す音声が聴きやすかったということになります。

人は自分と似ている人に心を開きやすいという性質がありますので、ペーシングはプレゼンにおいてもとても有効な手法となります。

たまたま地元が一緒で盛り上がるみたいなことね

多数を相手にプレゼンする場合は350文字/1分をベースに

1対多の場合はどうすんの?

数人であれば、デシジョンメーカー(決定権者)にターゲットを絞って話すことも可能です。

詳細は下記の記事をご覧いただければと思いますが「何を」プレゼンするかの前に、「誰に」プレゼンするかを決めることがとても重要です。

実際に使用する人(例:従業員など)と購入決定権者(例:経営者や総務など)が異なる場合など、表に立っている担当者に決定権が無い場合も多いですので、誰が最終的に意思決定を行うのかを事前に見極め、その人に合わせてプレゼンを行っていきます。

っていってもそれが分からない場合も多いんじゃない?

たしかにそうですね。

その場合は、350文字/1分をベースにしてプレゼンすることをオススメしております。

上記の音声データを聴いてもらえれば分かるとおり、多くの人にとって遅すぎることもなく、速すぎることもないペースが、350文字/1分ではないでしょうか?

これは聴く人の主観の問題となりますので、350文字/1分がベストというわけではありませんが、まずはこれをベースに話し、状況に応じて調整してくことが望ましいと思います。

間違いなくいえることは、300文字以下/1分だと、遅いと感じる人が増えて、400文字以上/1分だと速いと感じる人が増えるということです。

現状、ご自身の話す速度がどちらかに含まれるようであれば、修正することをオススメします。