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【プレゼンのコツ】
分かりにくい資料の5つの特徴と改善策

「分かりにくい」という第一印象がプレゼンをダメにする

プレゼン資料作成代行サービスを行う弊社にご依頼いただくお客様のお悩みのひとつに、

「資料をもっと分かりやすくしたい」というものがあります。

たしかに、提案内容がどんなに素晴らしいものであっても、「分かりづらい」という第一印象を与えてしまえば、伝えたいことが伝わらないという結果につながってしまいます。

見た目が9割など、第一印象の重要性を説く様々な理論が存在しますが、代表的なものを3つあげると、

1.初頭効果
最初に与えた印象によって、全体的なイメージに大きな影響を及ぼす効果

2.確証バイアス
最初に抱いた仮説に基づいて、自分に都合の良い情報を収集してしまうバイアス

3.ホーン効果
一部の悪い印象に引きずられて、全体の評価に悪い影響を与える効果

などがあります。

これらの理論からも分かるように、プレゼン資料における第一印象はとても重要なものになります。

パッと見の印象をずっと引きずっていくってことね

それにも関わらず、「分かりにくい」という状態のまま放置してしまっている資料が多々あります。

分かりにくいだけで、分からない訳じゃないからな

せっかく作った資料を作り直すの大変だし

最も資料に熟知しているはずの作った本人が分かりにくいと感じるのであれば、他の人にとって分かりにくい資料であることはほぼ確実です。

そのため、気がついた時点で手間を惜しまず改善する必要があります。

再度説明を求められたり、真意が伝わらずに商談機会を逃すなど、分かりにくい資料を使い続けることの方が、後々手間を増やす結果につながってしまうからです。

伝える内容が同じでも、伝える順番で評価が変わる

でも結局、プレゼンなんて中身でしょ

たしかに「中身ありき」なのは間違いありませんが、「中身だけ」でプレゼンを成功させるのが難しい場合も多くあります。

このことに関連する実験として、ポーランド出身の心理学者ソロモン・アッシュが行った有名な実験があります。

それは2つのグループの被験者に対して、二人の人物の特徴を説明し、その印象をヒアリングしました。

Aさんの特徴
勤勉、知的、思慮深い、嫉妬深い、頑固、衝動的

Bさんの特徴
衝動的、頑固、嫉妬深い、思慮深い、知的、勤勉

ご覧いただければ分かるとおり、ポジティブな言葉から説明するか、ネガティブな言葉から説明するかの違いだけで、伝えている内容は同じです。

しかし、内容は同じなのにネガティブな特徴を始めに伝えられたBさんよりも、ポジティブな特徴を始めに伝えられたAさんに対して、良い印象をもった被験者が多いという結果になりました。

ソロモン・アッシュ形容詞リスト法による印象形成


このことからも、結果的に伝える内容が同じでも、はじめに伝わる印象がどういったものであるかによって、全体の印象が変わってしまうことがイメージしていただきやすいかと思います。

始めに分かりづらって思ったら聴く気なくなるもんな

分かりづらい資料になる主な原因

第一印象の重要性は分かっているけど、
なんか分かりにくくなっちゃうんだよね

シンプルにするために「伝えたいことだけ」書いているのにな

そうですよね。

「分かっている」ことと「デキる」ことには大きな差があることが多く、シンプルに分かりやすく作らなきゃいけないのは分かっているけど、それがなぜかできないというお話もよくお伺いするお悩みのひとつです。

その解決策として弊社がよくお伝えしていることは「伝えたいことを書く」という考えを改めることです。

なんで?余計なことを書かずに
伝えたいことだけに絞るって合理的じゃね?

たしかにそのように感じますが、そもそもプレゼンで伝えるべきことは「相手の知りたいこと」であって「こちらの伝えたいこと」ではありません。

「伝えたいことだけ書く」ことの問題点は、独りよがりになりやすいということです。

自社の商品やサービスに思い入れがあればあるほど、より多くのことを知ってもらいたいと思うのが人として当然の心理といえます。

しかし、聴く相手からするとそれぞれの立場や状況が異なりますので、必ずしもあなたのプレゼンに興味があるとは限りません。

プレゼン相手の4つのスタンス



また情報収集におけるタイパ重視、コスパ重視の傾向が強まってきていますので、相手の興味や状況に応じた情報提供が求められています。

このことから、

(あなたの)伝えたいこと

と、

(相手の)知りたいこと

このギャップをいかに埋めるかが「分かりやすい資料」をつくるための重要な視点といえます。

プレゼン相手に最適化した資料=分かりやすい資料ってことね

分かりにくい資料の5つの特徴と改善策

パワーポイント作成代行サービスを10年以上行う弊社では、様々な資料の改善を行ってきましたが、その中で分かりにくい資料にみられる特徴を、5つあげるとすれば次のようになります。

1.資料を見る人を想定できていない

2.ページあたりの情報量が多すぎる

3.主張が明確ではない

4.情報の羅列になっている

5.デザインに統一感がない

それぞれ具体的な内容と改善策をご紹介いたします。

1.資料を見る人を想定できていない

たとえば、プレゼン相手は、

業界知識の「ある人」なのか「ない人」なのか。

今すぐ導入しようとしているのか、将来的な導入に向けて情報収集している段階なのか。

こちらが提供する商品やサービスを望んでいるのか、それとも同業他社のものでも良いと考えているのか。

など、

相手のスタンスや状況によって、伝えるべき情報が変わるにも関わらず、同じ方法でプレゼンしてしまっているパターンです。

このことが原因で、

・知りたいことに対して単刀直入に答えてもらえない
・蛇足が多い
・(専門用語など)何を言っているのか分からない

などの印象を与えてしまうことで「分かりにくい」という評価につながってしまいます。

この問題の改善策はプレゼン資料をつくりはじめる前に、プレゼン相手に5つの条件を設定することです。

この条件付けによってプレゼン相手を仮想することで何を伝えるべきかを、より明確にすることが可能になります

2.ページあたりの情報量が多すぎる

例えば次の資料をご覧ください。

悪い資料の例


資料を作っている本人は、どこに、何が、どういう目的で、書いてあるかが分かるため、このような資料でも整合していると思えるのかもしれません。

しかし、客観的に見る人からすれば、情報量が多すぎてどこに何が書いてあるか分からないという印象になってしまいます。

特に資料作成に慣れていない人、または自分の決まったやり方で作り続けている人に多いのですが、ページ内の余白を嫌う傾向があります。

ここにスペースがあるからここに入れよう的な発想で、ページ内の情報をどんどん増やしていってしまうようなイメージです。

この問題に対する改善策は、1ページ1テーマの原則を徹底することです。

こうすることにより、プレゼン相手の注意力が分散したり、重要な情報が埋もれてしまうことを防ぐことが可能になります。

3.主張が明確ではない

これは要するに何が言いたいの分からない資料ということになります。

プレゼン資料をつくるのが苦手という人のお話をよくよく聴いてみると、そもそも「プレゼンする内容が決まっていない」ということがよくあります。

このことから、もしプレゼン資料づくりがうまく進まないという場合は、伝えたい内容で悩んでいるのか、伝え方で悩んでいるのかを今一度確認すべきです。

「伝えるべきことは何なのか」が分からない人がつくった資料は、当然それを見る人にも伝わらないということになりますので。

この問題に対する改善策は、プレゼンの結論として伝えたいことを一言でまとめてみることです。

一言でまとめることで、何を伝えるべきかが明確になり、提案する価値があるかどうかなど、プレゼン内容を客観視することも可能になります。

4.情報の羅列になっている

社内会議などで複数人の意見を寄せ集めて場当たり的に作った資料や、

急なプレゼンなどで資料としての体裁をとりあえず整えるためにつくった資料などに多いのですが、

このような全体の流れに脈絡がない資料も、分かりづらいという印象をプレゼン相手に与えることになってしまいます。

この問題に対する改善策は、最も伝えたいことを軸にフレーワークを使って流れをつくります。

代表的なフレームワークをいくつかご紹介します。

【SDS】
Summary・Details・Summaryの頭文字をとったもので、はじめに話の概要を示し(Summary)、次に詳細を説明(Details)し、最後にまとめ(Summary)を伝える型

【PREP】
Point・Reason・Example・Pointの頭文字をとったもので、はじめに要点(Point)を示し、次にその理由(Reason)を説明。そして、その具体的な例を示して(Example)、最後に結論(Point)を伝える型

【DESC】
Describe・Express・Suggest・Chooseの頭文字をとったもので、まずは相手のことや現状を客観的に描写し(Describe)、それに対する自分の意見を伝達(Express)。そして、課題解決のための提案を行い(Suggest)、最後に提案を受け入れた場合とそうでない場合の選択肢(Choose)を伝える型

これら以外にも効果的とされる様々なフレームワークが存在しますので、提案内容に合わせてしっくりくるものを選び、全体の流れをつくっていきます。

5.デザインに統一感がない

説明するまでもなく見た目の重要性は多くの方が理解されていると思いますが、プレゼン資料の内容を組み立てるだけで精一杯で、デザインまで気が回らないという人も多いのではないかと思います。

しかし、資料にデザイン的な統一感を与えられない場合、相手に違和感や混乱を感じさせることになります。

結果、内容に対する理解を妨げ「分かりづらい」という評価につながってしまいます。

この問題に対する改善策は「削る」「空ける」「揃える」を徹底することです。

デザインに統一感をもたらすためにはフォントや配色、レイアウトなど様々な要素が存在しますが、どれも一朝一夕で対応するのは難しい部分があります。

しかし、

ページ内の内容を極力少なくする→削る

同じ要素をまとめて周りに余白をつくる→空ける

左右上下中央のどこかを基準に整頓する→揃える

この3つであれば誰でも簡単に行うことが可能かと思います。

自分で作る場合の「伝わらないコスト」も計算する


以上、分かりにくい資料の5つの特徴と改善策をご紹介いたしました。

資料づくりがいまいちしっくりこないなと感じる時は、ご紹介した5つのポイントをチェックしてみて、少しでも分かりやすい資料に近づけていただきたいと思います。

また、自分で作ることによる「伝わらないコスト」を考えた場合、資料作成代行会社に依頼するという選択肢も必要になってくるかと思います。

その場合、既存の資料の何が問題であるかを把握することから始める必要がありますので、そういった意味でも5つのポイントを軸に分析していただくと、より良い資料にしていくためのキッカケになるのではないかと思います。