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手順が分かる採用ピッチ資料の作り方
【資料作成代行会社が解説】

採用ピッチ資料ってどうやってつくれば良いんですかね?

採用なんてどこもやること一緒なんだから
マネすればいいだろ

そんな人聞きの悪い……

まっそれでいっか

いいのかよ…

採用ピッチ資料にテンプレート的な正解は存在しない

採用ピッチ資料によって求職者が真っ先に知りたいことはなんでしょうか?

それは、企業理念や社長の挨拶、ましてや沿革などではありません。

求職者が知りたいこと、それは「他社との違い」です。

お給料とか雇用条件じゃないの?

そのハードルは事前の情報提供(採用サイトなど)を通じて超えていることが前提となります。

当然ながら、自分の望むお給料を提示しない会社を積極的に検討する人はいません。

今回は採用ピッチ資料のお話ですから、雇用条件などのハードルをクリアして、より深く知ろうとしてくれている求職者がターゲットとなります。

パワーポイント作成代行サービスを通じて、採用に10年以上関わってきた弊社だからいえることですが、採用ピッチ資料は「違い」を表現すべきなのにも関わらず、知名度の高い企業の資料を真似たような、テンプレート的なつくりに終始している資料が非常に多いです。

雇用条件やステータス(経営状況・雰囲気など)、ブランド力、コミュニケーション戦略など、採用に関わる要素が、自社とまったく同じ会社は存在しません。

それなのに「採用ピッチ資料だけ参考にする」ということであれば、大谷選手と同じ髪型にしたのに、大谷選手のように稼ぐことができないのはなぜだろう?と言っているようなものです。

採用ピッチ資料はあくまで採用を実現させるためのツールであり、資料の体裁を整えて終わりという代物ではありません。

「自社ならでは」を掘り起こす

そんなこと言われても、自分の会社にはこれといって違いと呼べるものもないし、特徴らしい特徴もないと感じている採用担当者の方がいるかもしれません。

うちの会社も右に同じって感じだな

もし本当にその通りなら、求職者はどうやって皆さんの会社を選ぶのでしょうか?

一部の業界を除き、今はほとんどの業界で人手不足であり、売り手市場ですので、よく分からない会社にリスクを冒してまで飛び込む理由が、多くの求職者にはありません。

たしかに日常的で、当たり前だと感じるものの中から特徴を見つけだすことは容易ではありません。

しかし、会社として存在している以上、必ず特徴はあります。

より良い採用ピッチ資料をつくるということは、自社の特徴を見つけて表現することと同義となります。

特徴というと、なにか画期的で誰にとっても分かりやすいものを想像する方がいるかもしれません。

たしかに、そういったものがあればそれに超したことはありませんが、必ずしも分かりやすい特徴である必要はありません。

例えば外国の方など、別の人種の人たちが皆似ているように感じ、逆に日本人ってみんな同じ顔しているよねと言われた時に「そうかな?ぜんぜん違うけど」と感じることがあると思います(他人種効果)。

これと同じように他者にとっては分かりにくい違いであったとしても、自分たちにとってみれば大きな違いと感じられるものこそ、採用プレゼンにおいて表現すべき事柄となります。

誰にでも分かる違いならわざわざ説明する必要ないしね

採用ピッチ資料の作成手順

採用ピッチ資料の作成手順として、必要最低限やるべきことは下記5つのステップとなります。

1.雇用条件における自社の立ち位置を知る

2.立ち位置に基づいてプレゼンの方向性を決める

3.自社ならではの強みをピックアップする

4.ピックアップした内容を効果的に紹介できるストーリーをつくる

5.デザインで差別化を図る

それでは、それぞれ詳細に解説していきたいと思います。

1.雇用条件における自社の立ち位置を知る

まずは募集したい職種を、他社がどのような条件で募集しているかをリストアップします。

そして、自社の条件が他と比べ「平均的」「平均より上」「平均より下」なのかを把握します。

なぜなら、自社が採用市場における買い手として、どの立ち位置にいるかを知らなければ、プレゼンの方向性を決めることができないからです。

例えば、車を購入する時に、よほどのお金持ちでない限り、事前に予算を決めずに車選びを始める人は少ないと思います。

そして、当然ながら予算に応じて、購入する車に求められるものが変わってきます。

少ない予算で高望みをすること、またその逆も、無駄が多いプロセスが発生することになってしまいます。

これと同じように、雇用条件における自社の立ち位置を把握しないまま資料を制作することは無理、無駄を生む原因となります。

予算が少ないのに色々求めるのは無理だもんね

他社の状況や雇用条件を曖昧にしたまま『とりあえずピッチ資料をつくってみる』ということでは、失敗する可能性が高まりますので、採用計画から整理することをオススメいたします。

2.立ち位置に基づいてプレゼンの方向性を決める

「1」でリストアップした結果、自社の立ち位置がどれにあたるかによってプレゼンの方向性を決めます。

それぞれのパターンに応じたプレゼン戦略の例をご紹介します。


「平均より上」である場合
現在のビジネスモデルやその持続性などをプレゼンすることで、他社よりもより良い雇用環境をなぜ実現できていて、その持続可能性がどのくらい高いのかを軸に採用ピッチ資料を作成していきます。


「平均より下」である場合
採用ピッチ資料をどうこうする前に、雇用条件を他社と見劣りしないレベルまで引き上げることができないかを検討します。

母集団の形成をどのような方法で行うかにもよりますが、例えば求人メディアを使う場合は、検索の段階でふるいにかけられてしまい、募集自体が認知されない、または認知されたとしても積極的に検討してもらえない可能性が高まってしまいます。スカウトやエージェントを利用する場合も同様です。


「平均的」である場合
採用ピッチ資料の出来不出来が最も影響するパターンとなります。信頼感と自社ならではを訴求することで、求職者の意思決定を促します。

平均より下の求人を検討しなくても他にたくさんあるし

3.自社ならではの強みをピックアップする

求職者にとって価値があると感じてもらいやすい自社ならではの特徴を掘り起こしていきます。

その基準となるものが「報酬」であり、これは単純に賃金だけを意味しているのではなく、会社に入社することで得られるすべのものを指します。

報酬は外発的報酬と内発的報酬に分類されます。



外発的報酬には賃金や福利厚生、社会的地位などが含まれ、求職者にとって自分の求める条件が満たされない限り応募することはない、絶対的な基準となります。

内発的報酬にはスキルアップや雰囲気、裁量などが含まれ、求職者にとってプラスαで満たされるとなお良しとされる、相対的な基準となります。

上記の2で「平均的」と判断した以上、外発的報酬には他社と比べ大きな違いはないということになるかと思います。

そのためピックアップすべき自社ならではの価値ある特徴の多くは、内発的報酬の中にあります。

たとえば、

スキルアップのためにどのようなフォローアップを会社として行っているか?

仕事の意義はどのような時に感じやすいか?

裁量はどのように与えられていくか?

フィードバック(人事評価)の客観性をどのように担保しているか?

など、

会社によって様々な内発的報酬をピックアップすることが可能になります。

特に中途入社なさった方にヒアリングすると、気がつかなかった視点を提供してもらえる可能性が高まります。

中途入社だよな?うちの良いところって何?

近所の野良ネコがイケメンなところ

そこ?

4.ピックアップした内容を効果的に紹介できるストーリーをつくる

ピックアップした情報をただ羅列するだけでは、その魅力が伝わりづらくなってしまいます。

そのため、ピックアップした情報を有機的に繋いだストーリー展開が求められますが、情報の内容やプライオリティなどによっても変わってきますので、一概に「これがストーリー展開の最適解です」という方法は存在しません。

しかし、直接的な答えにはなりませんがヒントとなるものはあります。

それは、ストーリーを組み上げるためのフレームワークです。

代表的なフレームワークをいくつかご紹介します。


【SCQA】
Situation(状況)、Complication(複雑化)、Question(問い)、Answer(答え)の頭文字をとったものです。

ストーリー展開の具体例として、

Situation(状況):
家庭の状況が多様化し様々な働き方が求められている

Complication(複雑化):

一方で、企業側が提供している働き方は限られている

Question(問い):
このような状況下で、もっと柔軟な働き方ができる方法はないか?

Answer(答え):
私たちの会社は完全リモート+週休4日制を実現

などが考えられます。


【FAB】
Features(特徴)、Advantages(優位性)、Benefits(便益)の頭文字をとったものです。

ストーリー展開の具体例として、

Features(特徴):
子育て世代が多い

Advantages(優位性):
そのため、子育て支援に関するコンセンサスが得やすい

Benefits(便益):
これにより、企業主導型の保育施設の設置が実現し、従業員に対し『保活』の選択肢を増やすことが可能に

などが考えられます。



【PREP】
Point(要点)→Reason(理由)→Example(例示)→Point(結論)の頭文字をとったものです。

ストーリー展開の具体例として、

Point(要点):
キャリアプランにタイパを求めるなら当社へ

Reason(理由):
大企業なら大きな仕事の一部分しか任せてもらえず自己完結できるようになるまで時間がかかる

Example(例示):
ある大企業の場合、PMになるまでに最低でも5年はかかる

Point(結論):
将来の独立を考えるなら1年目から様々な経験が積める当社へ


などが考えられます。

このようなフレームワークをヒントに試行錯誤を繰り返すことで最も伝えやすいストーリーを組み上げていく必要があります。

話しの流れがないと頭に入ってこないからな

別の方法としては採用資料作成代行サービスに依頼するという方法もあります。

たしかに数十万円ほどのコストが生じる選択ですが「自社の魅力が伝えられないことによって発生する採用コスト」を考えた場合、現実的な選択となりえるのではないかと思います。

5.デザインで差別化を図る

求職者は、同時期に、同じような会社の、同じような説明を何度も見聞きすることになります。

そのためビジュアルとして印象に残すことは、他社との差別化という観点からとても重要です。

デザインで最も重視すべきことは「見やすい」ということです。

見やすくするためのデザインのポイントは、「削る」「空ける」「揃える」を徹底することです。


デザインに統一感をもたらすためにはフォントや配色、レイアウトなど様々な要素が存在しますが、どれも一朝一夕で対応するのは難しい部分があります。

しかし、

ページ内の内容を極力少なくする→削る

同じ要素をまとめて周りに余白をつくる→空ける

左右上下中央のどこかを基準に整頓する→揃える

この3つであれば誰でも簡単に行うことが可能かと思います。

また、クレショフ効果(同じ内容でも隣接するイメージによって意味が変わる)などによって証明されているとおり、会社が伝えたいイメージをデザインとして表現していく必要があります。

プレゼン資料デザインサンプル⑭


プレゼン資料のデザイン事例などを参考にしながら会社として伝えるべきイメージを検討します。

信頼感、先進性、親近感、ワクワク感、独創性、革新性など、プレゼン戦略によって様々なものが考えられますが、それらを言葉で伝えるだけではなく、ビジュアルとしても訴求していきます。

そのためには、プレゼン資料デザイン代行サービスなど利用していくことで、伝えたいイメージの実現を目指します。

画像優位性効果なども有名ね

ビジュアルがキッカケで色々思いだすよな

採用ピッチ資料の出来不出来が経営に直接影響

以上、5つのステップで採用ピッチ資料をつくる手順をご紹介いたしました。

先にも述べたとおり、採用資料は体裁を整えて終わりというものではなく、他社との違いを表現し、求職者に意思決定を促すためのツールとなります。

また、採用ピッチ資料を軸に採用サイトなど他のツールの制作を行っていく必要がありますので、自社の採用戦略を端的に表したツールである必要があります。

採用ピッチ資料の出来不出来が採用コストや人材戦略、そして最終的には経営に大きな影響を与えることになりますので、コストを惜しまず納得のいくものを制作していくことが重要です。