例文でプレゼンのまとめ方が分かる
7つの構成例
記事の内容
まずはひとつの例文でプレゼンのまとめ方を確認
ひとつ目のプレゼン例文
新卒一括採用などメンバーシップ型の雇用環境を変えていく必要がある。
なぜなら、VUCAの時代を生き抜いていくためには、多様な価値観やスキルをもった柔軟な組織によって変化に対応していく必要があるから。
また、人生100年時代を見据え、各個人がその時々の環境に応じて変わっていくことが求められている。
ゆえに、人的資本投資のあり方を抜本的に見直し、メンバーが入れ替わらないことを前提とした従来のクローズな組織から、メンバーが出入りすることを前提としたオープンな組織へ変えていくことが急務。
また、個人が入れ替わるだけではなく、リスキリングを通じて個人が自ら変化していける環境を整えることも重要。
この例文のように、プレゼン全体をどのように構成し流れを作っていくのか、その方法を具体的な7つの例文を使ってご紹介
していきます。
伝えたい情報を羅列しただけでは伝わらない
早速ですが、次の単語をご覧ください。
・減圧症
・安全停止
・水深
・3分間
・ダイビング
・3m~6m
う〜ん…なんだろう?
何のことか分からない人が多いと思いますが、次の文章ならどうでしょうか?
ダイビングで減圧症を予防するためには水深3m~6mで3分間、安全停止する必要があります。
ご覧のとおり単語に繋がりをつくることで、減圧症や安全停止などの意味が仮に分からなかったとしても、何を言おうとしているかは理解でき、記憶に残りやすくなります。
記憶の中には『意味記憶』と『エピソード記憶』というものがあります。
意味記憶とは単語などの細分化された情報の記憶であり、エピソード記憶は意味記憶にストーリーや感情を組み合わせた記憶となります。
一般的にエピソード記憶よりも、意味記憶の方が頭に定着しづらく忘れやすい
とされています。
このことから、情報の羅列だと理解しづらくても、順序立てたストーリーなら頭に入りやすいのは科学的にも証明されているといえます。
年号の語呂合わせとかも同じ原理だな
このように、プレゼンテーションにおいても伝えたい情報をただ並べるのではなく、それらを有機的に繋ぐストーリーが重要
であることがイメージしていただきやすいと思います。
どうやってプレゼンのストーリーを構成するか?
プレゼンテーションを構成するにあたり、これなら間違いない的な絶対的なストーリー展開や作り方は、残念ながらありません。
やはり、何を伝えるかや、誰に伝えるかなど、プレゼンテーションには様々な状況が想定されますので、一概に「これが最適」と言い切るのは難しくなります。
ただ、正解はありませんが、ヒントならあります。
それは、プレゼン資料作成代行サービスを10年以上続ける当社も利用する話しを組み立てるためのフレームワーク
を参考にして、プレゼンテーションのストーリーを構成する方法です。
ここでは代表的なフレームワークを例文と共に7つご紹介します。
プレゼン内容やご自身の状況にあわせてピッタリなものを選び、当てはめて利用してみてください。
7つのフレームワークの概要と構成例
SDSの概要と構成例
Summary(概要)→Details(詳細)→Summary(まとめ)の頭文字をとったものです。
はじめに話の概要を示し(Summary)、次に詳細を説明し(Details)、最後にまとめ(Summary)を伝えるためのフレームワークです。SDSを使った構成例としては、次のようなものが考えられます。
Summary(概要):
新卒一括採用などメンバーシップ型の雇用環境を変えていく必要がある。
Details(詳細):
なぜなら、VUCAの時代を生き抜いていくためには、多様な価値観やスキルをもった柔軟な組織によって変化に対応していく必要がある。また、人生100年時代を見据え、各個人がその時々の環境に応じて変わっていくことが求められている。
Summary(まとめ):
ゆえに、人的資本投資のあり方を抜本的に見直し、メンバーが入れ替わらないことを前提とした従来のクローズな組織から、メンバーが出入りすることを前提としたオープンな組織へ変えていくことが急務。また、個人が入れ替わるだけではなく、リスキリングを通じて個人が自ら変化していける環境を整えることも重要。
PREPの概要と構成例
Point(要点)→Reason(理由)→Example(例示)→Point(結論)の頭文字をとったものです。
はじめに要点(Point)を示し、次にその理由(Reason)を説明。そして、その具体的な例を示して(Example)、最後に結論(Point)を伝えるためのフレームワークです。PREPを使った構成例としては、次のようなものが考えられます。
Point(要点):
社内の資料作成をもっと効率化させる必要がある。
Reason(理由):
働き方改革により残業時間の削減が求められていることはもちろん、不得手な資料づくりによって、本来なら伝えられることが、伝えられなくなってしまうコストも考慮する必要がある。
Example(例示):
実際、4月に外部に依頼したプレゼン資料の改善が大きな要因となり、成約率が前年比で1.76倍に増加。
Point(結論):
このことから、対外的な資料については自社内での作成に拘らず、外部のリソースを使っていくことで、外注費を上回るベネフィットがもたらされると考える。
IREPの概要と構成例
Issue(争点)→Reason(理由)→Evidence(証拠)→Point(結論)の頭文字をとったものです。
まず課題や争点を示し(Issue)、その理由を説明(Reason)。そして証拠を示し(Evidence)、最後に結論(Point)を伝えるためのフレームワークです。IREPを使った構成例としては、次のようなものが考えられます。
Issue(争点):
国家財政を家計に例えるのは間違いという考え方がある。
Reason(理由):
家計は自分でお金を発行することはできないが、国家には通貨発行権がある。これにより物価の急上昇が起こらない限り貨幣を発行し続けることが国家には可能。
Evidence(証拠):
実際、財務省自身が次のように述べている。「自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」「マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国」であると。
Point(結論):
つまり、国家財政を家計のように論じる「財政均衡主義」は間違いであり、物価や雇用などマクロ経済を安定させるために使うのであれば、政府債務の多寡を論じる必要はないといえる。
DESCの概要と構成例
Describe(描写)→Express(説明)→Suggest(提案)→Choose(選択)の頭文字をとったものです。
まずは相手のことや現状を客観的に描写し(Describe)、それに対する自分の意見を伝達(Express)。そして、課題解決のための提案を行い(Suggest)、最後に提案を受け入れた場合とそうでない場合の選択肢(Choose)を伝えるためのフレームワークです。DESCを使った構成例としては、次のようなものが考えられます。
Describe(描写):
あなたがマネジメントするチームの離職率が、他に比べ突出して高いです。
Express(説明):
あなた自身が優秀なプレーヤーであるがゆえに、部下に対してもあなたと同じような高いパフォーマンスを求めてしまうことが、離職率が上がるひとつの要因であると私は考えています。
Suggest(提案):
そこで、マネジメントする立場になった以上、プレーヤーであった自分と部下を比較するのはやめて、部下個人の過去と現在を比較してアドバイスするようにしてみてはいかがでしょうか?
Choose(選択):
これはあくまで選択肢のひとつですから、実行するかしないかはあなた次第です。しかし、この問題に対処しない限り、あなたのマネージャーとしての評価が上がることはありません。
SCQAの概要と構成例
Situation(状況)→Complication(複雑化)→Question(課題の提示)→Answer(解決策)の頭文字をとったものです。
まずは現在の状況について相手と共有した後(Situation)、その状況が複雑化していることを伝えます(Complication)。次に取り組むべき課題を提示し(Question)、その課題に対する具体的な解決策(Answer)を伝えるためのフレームワークです。SCQAを使った構成例としては、次のようなものが考えられます。
Situation(状況):
現代の家庭の状況が多様化し、様々な働き方が求められている。
Complication(複雑化):
一方で、企業側が提供している働き方は限られている。
Question(問い):
このような状況下で、もっと柔軟な働き方ができる方法はないか?
Answer(答え):
私たちの会社は完全リモート+週休4日制によって新たな働き方を提供します。
FABの概要と構成例
Features(特徴)→Advantages(優位性)→Benefits(便益)の頭文字をとったものです。
まずは特徴を簡潔に伝え(Features)、その特徴にはどんな優位性があり(Advantages)、その優位性によってどんな便益を得られるのか(Benefits)を伝えるためのフレームワークです。FABを使った構成例としては、次のようなものが考えられます。
Features(特徴):
当社は子育て世代の割合が多いです。
Advantages(優位性):
そのため、子育て支援に関するコンセンサスが得やすいです。
Benefits(便益):
これにより、企業主導型の保育施設の設置が実現し、従業員に対し『保活』の選択肢を増やすことが可能になりました。
STARの概要と構成例
まずは状況を説明し(Situation)、その中での役割や課題を説明(Task)。そして、その課題に対してどういう行動をして(Action)、その結果どうなったか(Result)を伝えるためのフレームワークです。STARを使った構成例としては、次のようなものが考えられます。
Situation(状況):
私の体重が規定値を大幅に超え、容姿に影響を及ぼすようになりました。
Task(タスク):
効率的なダイエットによって、可及的速やかに規定値内に体重を戻すことが、私の課題です。
Action(行動):
ストレスによる交感神経の高まりが、必要以上に食物を摂取してしまう原因であると考え、泣ける映画をたくさん見て泣くことにより、交感神経の高まりを抑制するように努めました。
Result(結果):
失敗しました。
フレームワークが紹介されている本などによっては、DetailsがDescriptionになったり、EvidenceがExampleになったりするなど多少の違いはありますが、趣旨としては概ね同じような内容となりますので、理解しやすい方を選択してください。
以上が、プレゼンテーションにストーリー展開を与えるための7つのフレームワークとなります。
プレゼン内容によって向き不向きがありそうだから選び方がポイントね
ストーリーが決まれば作るべき資料が決まる
詳細は下記の記事をご覧いただければと思いますが、プレゼン資料は話しを補足するための補助ツールですので、伝えたいことを並べて資料の体裁を整えれば終わりというものではありません。
プレゼンテーションのメインとなるのは、あくまで『何を、どう話すか?』ということになります。
そのため、とりあえず資料の作成から着手するということではなく、ご紹介したフレームワークや構成例を参考に、まずはプレゼンのストーリーを組み上げていくことが重要です。
ストーリーができれば、どんな資料をつくるべきかが明確になり、資料づくりが捗ることにもなります。
事前にやるべきことをやってないと
資料づくりがうまくいかないってことだな