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見やすい資料を
デザインするための方法とは?

資料のデザインはデザインだけで良くなる訳ではない

弊社のプレゼン資料作成代行サービスにデザインをご依頼いただく場合、制作方法は大きく2種類に分かれます。

ひとつ目は原稿の制作から弊社にて対応させていただく場合と、もうひとつはお客様からお送りいただいた原稿をそのままデザインさせていただく場合です。

弊社にて原稿の制作から対応させていただく場合は、原稿のつくりを調整させていただくことが可能になりますので特に問題ないのですが、お客様からお送りいただいた原稿をそのままデザインさせていただく場合、デザインに様々な制約をうけることがあります。

制約をうける原稿がどのようなものかといえば、例えば下記のような原稿です。

見づらいプレゼン資料例①


このように、スライド内に情報が詰め込まれている原稿の場合、より良いデザインを提案させていただくのが難しくなってしまいます。

なぜなら、適切なスペースが確保できないことによって、資料のデザインにおいて最も重視すべき「見やすさ」を表現することが難しくなるからです。

例えば、自宅のリビングを北欧テイストの素敵なイメージにしようと思っても、モノが所狭しと並び溢れかえっている状態であれば、色やイメージをいくら調整しても、その実現は難しくなります。

そういった意味で、資料のデザインはデザインだけで良くなる訳ではなく、お客様からお送りいただく原稿のつくりによって、デザインの出来不出来が大きく左右されることになります。

見やすくするためのコツはひたすら「削る」

資料を見やすくするためには、フォントや色などを調整することでも可能ですが、それらはあくまでスペースが確保されたうえでの話しであり、そうでなければ他の要素をいくら調整してもおのずと限界を迎えます。

見やすい資料とは何かといえば「適切なスペースが確保されている」ということになります。

では、スペースを確保するためにはどのようにすれば良いかというと、ひたすら原稿の内容を削っていきます。

つまり、資料の目的に応じて必要最低限の情報に絞り込むことです。

原稿の内容をひたすら削り、最低限の情報に絞り込むことは、資料を見る人にとっても大きなメリットとなり、結果的に内容の理解を促すことにもつながります。

資料全体としてどうしても削れない場合は
どうすんの?

その場合は1ページで表示しようとしていたものを2ページに分割するなどして、スライドを分けることによってスライドあたりの情報量を削減していきます。

原稿を削ることによるメリットとは?

イスラエルの心理学者ダニエル・カーネマンが1973年に提唱した注意資源モデルによって「人が注意できることには容量がある」ことが証明されています。

また、一度にすべての情報を与えるのではなく「ユーザーが必要とする情報を必要に応じて開示することで学習意欲を向上させる」とする、段階的開示の必要性をアメリカの教育心理学者ジョン・M・ケラーが提唱しています。

つまり、一度にたくさんの情報を与えることは、資料を見る人の注意力を阻害し、認知機能を低下させることにつながります。

その結果「分かりにくい」などネガティブな評価につながってしまいます。

これらのことから、たくさん情報を伝えたからといって、たくさん伝わる訳ではない以上、一時的にたくさんの情報を与えることはメリットよりも多くのデメリットを生むことになります。

まして、資料を見る段階でその人がもつ認知能力をすべて発揮できる可能性は極めて低いです。

なぜなら、前日にパートナーと喧嘩して思い悩んでいるかもしませんし、直前の会議で上司に叱責されたことで心理的なストレスを感じているかもしれません。

このように、資料を見る人は常にクリアな状態で集中して向き合える訳ではありませんので、あれもこれもではなく必要最低限の情報に絞り込むことによって、より確実な理解を促していくことが重要です。

伝えたい情報がたくさんあるから削れない?

でも、伝えたいことがたくさんあるから削れって言われても難しいかな

それについては根本的な考え方を改める必要があります。

つまり、資料の中に記載すべき情報は「伝えたいこと」ではなく、資料を見る人が「知りたいこと」を中心に記載していくべきです。

資料を見る人は「自分の抱える問題を解決したい」と考えています。

極論をいえば、それに役立つ情報だけを知ることができれば良いということになりますので、それ以外の情報は、ただのノイズになってしまいます。

動画を倍速で視聴するなど情報収集にタイパを求める傾向が強まってきていますので、より端的な情報提供を目指す必要があります。

また、ノイズが増えることで本来伝えたいことが埋もれてしまうというデメリットも発生しやすくなります。

見やすい原稿をつくるための3つのチェックポイント

見やすい資料をつくるために、必要最低限チェックすべき項目は下記の3つになります。

1.記載されている長文は資料を見る人にとって必要なものか?

2.あえて記載する必要のない情報が記されていないか?
3.各スライド内に十分なスペースが確保されているか?


それぞれの詳細を解説していきます。

1.記載されている長文は資料を見る人にとって必要なものか?

例えば、モニターやスクリーンに投影してプレゼンするスライドに長文が記載されている場合、ほとんどの人は文字が小さすぎて読むことができません。

そのため、見る人が可読できない長文は存在する価値の無いコンテンツということになります。

文字を大きくすれば?

こんな風にですか?

見づらいプレゼン資料例②

も、文字だらけ

このようにスライド内で読みやすい長文を記載する場合、それなりにフォントを大きくする必要がありますので、多くのスペースを占有することになってしまいます。

結果、資料を見る人に「文字だらけの分かりにくい資料」という印象を与えかねません。

このことから、説明しながら見せるプレゼン資料であるにも関わらず長文が記載されている場合は、その役割を今一度検討し直す必要があります。

長文の役割を検討?

つまり、記載されている長文が、資料を見る人のために存在しているのかそれとも、伝える側の都合で存在しているのかということです。

例えば、

・資料内に長文がないと自分が説明できないから
・長文がないと資料がスカスカでなんかカッコ悪いから
・図をつくるより長文で説明した方が楽だから

などが、伝える側の都合として考えられます。

プレゼン資料は説明を補足するための補助ツールですので、ほとんどの場合で長文を記載する意味がありません。

配布用なのか、プレゼン用なのかで切り分けるイメージかな

そのとおりだと思います。

長文が存在しなければ成立しない資料なのであれば当然必要になりますが、そのような検討が行われずワンパターンで制作されることが多いため「この長文は資料を見る人にとって必要なものか?」と自問することが重要になります。

2.あえて記載する必要の無い情報がないか?

感覚的にいえば「この説明は蛇足だな」と思えるものを削っていきます。

例えば、業界の人であれば誰でも知っているであろうことを説明するためにページを割いていたり、PDCAサイクルなど使い古された概念をあえて詳細に説明していたりするなど、資料を見る人にとって余計だなと思う内容がこれに該当します。

蛇足かどうかをどのように判断するかといえば、資料を誰に見てもらうのかというターゲットを定めることで、その人の予備知識を想定することが可能になります。

それに基づき、記載すべき情報の要不要を判断していきます。

長文と同様、資料を見る人の都合ではなく、資料の体裁を整えるためにという伝える側の都合で記載されているコンテンツも少なくありませんので、本当に伝えたいことを伝わりやすくするためにも、余計な情報をそぎ落とします。

3.各スライド内に十分なスペースが確保されているか?

「内容は資料を見る人にとって必要な情報のみ」という状態になったら、ページ構成を見直します。

見直す基準は各スライド内に十分なスペースが確保されているかどうかです。

先述しましたとおり、人は複数の対象に同時に注意を向けることができませんので、極力ひとつの情報に集中してもらえるようにスライドを構成します。

また、スライド内にスペースが無い場合は分割することでスペースを確保していきます。

でも、ページを分けちゃうと話しがつながらなくなるのよね

その場合は、ストーリー構成に問題があり情報の羅列になっている可能性があります。

詳細は下記の記事をご覧いただければと思いますが、伝わりやすい資料をつくるためには、伝えたい情報をただ並べるのではなく、それらを有機的に繋ぐストーリーが必要になります。

ページを分割することで流れが破綻するようであれば、資料の構成を見直すことをおすすめいたします。