

新入社員の作る資料が
使えない・ヤバい・おかしい時の対処法

記事の内容
新入社員のつくるヤバい資料の特徴
当然ながら新入社員の作成する資料のすべてがヤバい訳ではなく、良く出来ているものも多いです。
多少の誤字脱字があったり、論理構成に破綻が見られてもそれは未熟なだけであってヤバいとか、おかしいとまではいえません。
経験を積めば徐々に直っていくからね
ただ、明らかにそういう次元ではない資料を作成してくる新入社員がいるのも事実です。
そういった資料には共通する特徴があります。

それは、「自分でつくった資料について作成した本人が説明できない」ということです。
質問してもまともな答えが返ってこないパターンだな
そのとおりです。
資料を作成した本人が、その内容を一貫性をもって論理的に説明できなければコミュニケーションが成立しません。
その時にこの資料はヤバい・おかしいと感じることになります。
ポイントは客観的に合理性があるかどうかではありません。
あくまで本人の中でどのような論理で構成されているかを説明してもらえれば、それがどんなに突拍子のないものであったしてもコミュニケーションが成立する余地があります。
しかし、それすらできないということであれば話は変わってきます。
決定的なのが、自分で説明できないことになんの悪気も感じていない場合があることです。
なんだったら、そんな質問をしてくるあなたが悪い的な
空気を醸し出すヤツすらいるよな
新入社員のつくる資料がなぜヤバくて、おかしくなってしまうのか、その思考回路を紐解いていきたいと思います。
新入社員の作成するおかしい資料の原因は思考の外部化
ヤバくて、おかしい資料に共通する特徴として、「自分でつくった資料について作成した本人が説明できない」ことがあげられると申し上げました。
具体的には、
「なぜこの言葉を選んだの?」
「なぜこのグラフが必要なの?」
「なぜこう結論づけられるの?根拠は?」
などの質問に対して、当然納得もできないし、理解すらできない回答が返ってくる状態です。
もっと悪いのは、こちらの質問に対して押し黙ってしまうことです。
とりあえずなんか言ってってやつね
なぜそうなってしまうかといえば、自分の中から生み出されたものではないので理由が存在しないからです。
つまり、思考が外部化しているのです。

では、思考している「外部」とは何かといえば、SNSだったり、生成AIなどがあげられます。
だから「生成AIに言われたので」とか真顔で言ってくるわけか
そうです。
そう説明することにまったくためらいがありません。
アルゴリズムによって編集された自分好みの情報に接して生活することが当たり前の人たちにとって、その情報に従うことは経験的にも間違いのない行動となります。
プライベートならそれで問題ないことも多いけど…
多くの新入社員にとって仕事の時間こそが経験したことのない特殊な時間なわけですから、思考を外部化しないことの方が異常に感じます。
というよりも、自分で考えることはコスパが悪いとすら考えている場合があります。

答えらしきものは勝手に流れてくることがほとんどで、答えを「つくる」ことよりも「見つける」ことに慣れているからです。
そして、「見つける」だけで問題なく生活することができます。
もっといえば、仮に自分で答えをつくって失敗した場合、責任転嫁できなくなるので心理的な負担も高まります。
自分で考える理由がないってことになるな
自分で思考して選び、その結果を受け入れるというストレスを経験しなくても、生きていける環境が出来上がっているということです。
「検索」すら高度なスキルになっている
現在のマネジメント層が新人だった頃、検索なんて誰でもできる簡単なスキルでした。
できて当たり前だったよね
しかし今は、一部の人にしかできない高度な知的スキルへと変質してしまいました。

まず検索の出発点は何を調べるかというクエリ(検索キーワード)の入力から始まります。
ここが最初の高い壁になって新入社員の前に立ちはだかります。
なぜなら思考を外部化することが当たり前になると、自分の違和感や不明点を具体的な言葉に変換することができません。
漠然とした不安や課題を、検索エンジンが理解できるキーワードに落とし込むには、対象への一定の予備知識と、抽象化する能力が必要です。
また、何を知らないのかを特定するプロセス自体が、内省という高度なスキルになってしまっています。
仮にこの段階をクリアしたとしても、次なる壁が現れます。
それは、検索結果にでてきた情報を自分の状況に合わせて取捨選択し編集することです。
アルゴリズムによる受動的な情報消費に慣れた人たちにとって、「能動的に選択して、読解、比較し、構造化する」という一連のプロセスは、あまりに負荷が高く、コストに見合わない苦行のようなものです。

今はAIが全部やってくれるからね
かつて「ググればわかる」という言葉がありましたが、今や「ググって正解に辿り着けるだけの知性がある人にはわかる」という条件付きの言葉になってしまったと認識する必要があります。
資料作成は知的生産作業であるという前提が非常識に
かつての資料作成は無から有を生み出す知的生産作業としての側面が強かったです。
しかし今は、使えない資料をつくる新入社員などの一部の人にとって、パッチワークに近い作業になっています。
パッチワーク?
そうです。
AIによって生成された内容を、それっぽい資料に見えるように整えるだけといったイメージです。
整える部分すらAIがやってくれるからね
極論をいえば、白いスペースのままだと見栄えが悪いので、生成AIでつくった既製品でスペースを埋める作業になっているともいえます。
資料を構成する内容は既製品の寄せ集めなので、それがどういう構造になっているかを知ることはできません。
これが質問しても答えられない主な原因です。
これは相手を納得させることよりも、資料の体裁を整えることが目的化している状態です。
そして最も重要なポイントは、つくった本人がそれで満足していることです。

中身を理解していないことに対して危機感を抱かず、むしろ効率よく綺麗にまとめることができたことに達成感すら感じています。
資料作成=知的生産作業という認識を変えない限り、彼らとのコミュニケーションが成立することはありません。
使えない資料をつくる新入社員に対する対処法
ここまで読んでいただいた方ならイメージしていただきやすいと思いますが、そもそも「ヤバい」「おかしい」「使えない」資料ををつくる新入社員との溝は到底埋められるものではありません。
新入社員のマネジメントを担当するということは、その組織において実績があり、信頼があることの証です。
そんな人たちが匙を投げたくなるほどの人材であれば、できる対処は限られます。
最も現実的な対処は放置または現状維持です。
あえて対処しないってこと?
そうです。この記事を読むような優秀な人は、会社にとって貴重な人材でありその人のリソースを無駄に浪費することは、ご本人にはもちろん、会社にとっても損失でしかありません。
例えば、かつての新卒採用には次のような合理性がありましたが、今では幻想になりつつあります。

【幻想1】高い可塑性を生かして一体感を醸成できる
新卒採用を行うことで何にも染まっていない白紙の状態から企業独自の価値観、働き方、文化といったOSを組み込み、あうんの呼吸でコミュニケーションを図れる人材を育成することができました。
しかし今は、能力としての可塑性はあったとしても、本人に変わろうとする意志やモチベーションが低いため、何にも染まっていないことや、高い学習能力がメリットとして機能しません。
【幻想2】長期的な視点で育成投資を回収できる
新卒社員は仮に入社当初は手間がかかっても数年経てば戦力化し、その後数十年の時間をかけて投資を回収することができました。
今は「入社5秒でマジ退社」という言葉がまことしやかに語られるとおり、彼らに成長を促すために適切なストレスを与えることですら退社リスクをはらむことになるため、回収が不可能になったり、大きく遅れることになり、投資効率は極めて低くなっています。
【幻想3】組織の新陳代謝を自動化できる
定期的に新しい価値観を持つ世代が流入する仕組みを作ることで、組織の硬直化を防ぎ、活気と最新の感覚を維持し続けることができました。
それに対して思考しない若手の流入は、組織の活性化に寄与するどころか、現場の疲弊とリソースの枯渇を招く要因になっています。
メリットよりもデメリットが大きくなっている感じだな
その証拠に、厳選採用に舵を切る企業も増えてきました。

かつてのように頭数を揃えることを重視するのではなく、自社にとって本当に必要な人材のみを採用する。
これによって人事が持ってきた「ツケ(使えない新入社員)」を、現場が負担するという構図が解消されつつあります。
「なんとかしなければならない」から「使えない」という結論を受け入れれば、少なくとも現場の疲弊を最小限にすることができます。
部下に寄り添うだけでは解決できないこともある
人手不足の影響もあって現代のマネジメント論の多くは部下にできるだけ寄り添うことを求めます。
しかし、現場のマネージャーが今やるべき事は救える部下と、そうでない部下の境界線を引くことです。
「傾聴」も「サーバント・リーダーシップ」も、自分で考える人を対象にすべきであって、無差別に行うべきではありません。
「目的を丁寧に説明すれば、彼らは納得して動く」
「心理的安全性を高めれば、主体性が引き出される」
「伴走型で問いを立てれば、自走できるようになる」
これらのよくあるマネジメント論は「自立して思考ができる人に対してなら」という枕詞がつくことではじめて成立します。
じゃなきゃただの机上の空論だな
繰り返しますが、採用の失敗をあなたが一人で背負う必要はありません。




