シンプルなパワーポイントデザインの作り方
|デザイン例で解説
記事の内容
実際のデザイン例でシンプルなデザインとは何かを確認
仕事で使う資料のデザインはシンプルに限りますよね
だな。ビジネス資料のデザインはシンプル一択
お二人のおっしゃるとおり、パワーポイント資料作代行サービスを行う弊社に対しても、シンプルなデザインをお求めになるお客様は非常に多いです。
ただ、この『シンプルなデザイン』という言葉から連想されるイメージは人によって千差万別とまでは言いませんが、様々なのは間違いありません。
そこで、まずは実際にパワーポイントで作ったデザイン例を元に『シンプルなデザイン』とは何か?を整理してみたいと思います。
レイアウトがシンプル
このスライドは、スライドタイトルとロゴの他に4つのコンテンツを均等に割ったスペースに配置したシンプルなレイアウトのパワーポイントデザイン例です。
構成要素がシンプル
このスライドは『画像』と『キャッチコピー』と『ロゴ』の3つの要素だけを配置しただけの構成要素がシンプルなパワーポイントデザイン例です。
配色がシンプル
このスライドは、配色を1色に限定して(濃淡を含む。ロゴを除く)作成したシンプルなパワーポイントデザイン例です。
フォントがシンプル
このスライドは、パワーポイントを立ち上げるとデフォルトで設定されるフォント『游ゴシック』のみを使ったシンプルなパワーポイントデザイン例です。
デザイン要素がシンプル
このスライドは、デザイン的な飾りなどの要素を極力廃し、四角や線など単純な図形のみで構成されたシンプルなパワーポイントデザイン例です。
以上、5つを例示させていただきましたが、お二人がイメージするシンプルなパワーポイントのデザインはどれに近いでしょうか?
俺のイメージだと最後のだな。
でも、構成がシンプルなのもシンプルと言えばシンプルだな。いや……
う〜ん、こうやって見るとどれもシンプルに見えるかも
このように比較して見ると『シンプル』が一様ではないことがお分かりいただきやすいかと思います。
これは要するに、どの部分に重きを置くかによって『シンプルなデザイン』の概念が変わる
ことを意味しています。
そして、資料を見る人によってその価値観は様々であり、デザインする人がシンプルだと思っていても、資料を見る人がそのように解釈するとは限りません。
このことから、自分の中で「シンプルなデザインとは何か」を定義したうえで作成しなければ方向性を見失うことになってしまいます。
簡単につくれそうなデザイン=シンプルではない
ビジネスの現場で資料を作る人が、そもそもシンプルなデザインを求める理由はなんでしょうか?
やっぱり、つくるのが簡単だから?
必要最低限な方が効率的な感じがするよな
研修でもそのような回答をいただくことが多いのですが、デザイン制作の実態と比較するとそれは大きく異なります。
つまり、つくるのが簡単そう=シンプルなデザインではありませんし、効率的なデザイン=シンプルではないということです。
例えば、次の2つのスライドをご覧ください。
どちらのスライドの方がシンプルで作りやすいと思いますか?
そら、断然上の方がシンプルで作りやすいだろ
間違いないですね
本当にそうでしょうか?
デザインを生業としている人に、どちらの方がシンプルに見えるか?と質問すれば、お二人と同じように『上のスライド』と回答する人が多いと思います。
しかし、どちらの方が作りやすいか?と質問すればおそらく『下のスライド』と回答するデザイナーが多くなると思います。
え!なんで?
シンプルに見えるスライドの方がつくるのが難しいと回答する理由を、一言で表現すれば「少ない素材でどうにかしなければならないから」
ということになります。
例えば、お寿司とカレーを想像してみてください。
見た目だとどちらの方がつくりやすいと思うでしょうか?
そりゃまあ、寿司かな。
見た目はご飯の上に切り身が乗ってるだけだし
カレーは見ただけじゃ何でできているのか分からないよね
見た目だとたしかにそうなりますよね。
では、プロがつくったものと一般の人がつくったものを比較した場合、どちらの方が違いを感じやすいでしょうか?
カレーであればレシピも多数存在し、市販のルーなどを使えばプロがつくったのかどうか食べ比べても違いが分からないカレーをつくることも可能だと思います。
しかし、お寿司はどうでしょうか。
ネタやシャリなど全体を構成する要素が少ないからこそ、職人の技術で細部にこだわる必要があり、誤魔化しがききにくくなります。
デザインについても同じ事がいえます。
見た目がシンプルだからこそ、フォントの選択や文字間の調整、配色、全体のバランスなど、ディテールに配慮しなければデザインの意図を表現することができなくなってしまいます。
つまり、シンプルに見えるデザインの方が難しく手間がかかる場合が多い
ということになります。
シンプルなパワーポイントデザインを作る方法
難しくて手間がかかるのは分かったけど
それでも作りたい場合はどうするの?
先述したように、どこにこだわるかによって作り方は様々だと思います。
ただ、上記のデザイン例で説明させていただいた内容がひとつのヒントになるかと思います。
つまり、
1.レイアウトをシンプルにすること
2.構成要素をシンプルにすること
3.フォントをシンプルにすること
4.配色をシンプルにすること
5.デザイン要素をシンプルにすること
この5つがビジネス資料をシンプルなデザインにするための要件になってくるかと思います。
5つの要件がすべて満たされればかなりシンプルな印象になるかと思いますが、当然すべての要件を満たす必要はありません。
5つの中から3つくらいを選び作成することも可能ですし、1つだけでもシンプルな印象を与えることは可能だと思います。
シンプルなデザインを作る時に注意すべきこと
シンプルなデザインを作成する上で注意すべき事があります。それは『シンプル』と『単調』は異なるということです。
例えば、次のスライドをご覧ください。
これは『シンプルなデザイン』といえるでしょうか?
レイアウトはオーソドックスで、構成要素も少なく、フォントや色はそれぞれ一種類だけを使用し、デザイン的な装飾は何もありません。
まあシンプルといえばシンプルだけど……
っていうかデザインされた感じがしない
そうですよね。
シンプルと単調の違いは何かといえば「デザインの意図が感じられるかどうか」ということがあげられます。
単調なデザインはデザイン表現が弱く、何をしようとしているのか分からない状態
になっていると言い換えることもできます。
繰り返しになりますが、デザインした結果の良し悪しは見る人によって評価が異なります。
しかし、少なくとも「何を表現しようとしたのか」という作成者の意図が伝わる状態になっている必要があります。
そういった意味でも、シンプルなデザインは作成者の意図を感じてもらえるかどうか紙一重になりやすいデザイン
ともいえます。
やっぱりシンプルなデザインをつくるのは難しいのね
ビジネス資料においてシンプルよりも優先すべきデザイン要件とは?
これまでは『シンプルなデザイン』を中心に話しをさせていただきましたが、そもそもビジネス資料を作成するうえでシンプルよりも優先すべきデザイン要件があります。
それは「見やすさ」です。シンプルなデザインを目指すよりも、見やすい資料を目指す方が、より簡単かつ効率的に作成することが可能
です。
シンプルなデザインにしなきゃ
見やすい資料にならないって勝手に思ってたかも
見やすいとシンプルは別もんってことね
詳細は下記の記事をご覧いただければと思いますが、見やすい資料をデザインするための方法も手順も明らか
ですので、それに従ってつくることで、より効率的な資料作成が可能になるかと思います。
上記の記事を一言でまとめるとするならば「ページ内の構成要素をシンプルにすればどんな資料でも見やすくなる」ということです。
資料を見やすくすることはデザインの役割と思われがちですが、それ以上に資料をどのように構成するかの方が見やすさに大きく影響を与えることがあります。
また、そもそも資料をデザインする必要があるのかという視点を持つことも重要
です。
特に社内向けの資料については、デザイン性に優れていることよりも、いかに効率的に作成するかの方がプライオリティが高いと思います。
そういった場合、見やすい資料になればそれで良いという場合も多いのではないでしょうか。
シンプルなデザインなら簡単につくれるからとりあえずデザインするという先入観で資料作成を行うと、デザインに余計な時間を費やすことになり、無駄な業務を生じさせる結果につながってしまいます。